いまさら聞けない!?『社会教育』②

対談

第2回:コロナ禍の今。『社会教育』に出来ることは

開設から50年、社会教育の実践機関として位置づけられてきた「ひの社会教育センター」ですが、時代と共に関わる人もまた変化し、3世代を超えて利用されている場所になっています。
時と共に変化することと、変わらないもの。社会教育とは何なのか、社会教育に求められることは何なのか…こうした話題について今年度は、現場で日々活動に向き合う職員と、この分野を専門的にご研究されている 東京都立大学(2020年3月までの首都大学東京)の荒井文昭教授との対談をお届けしていきます。

前回、第1回の『社会教育ってそもそも何!?』を読んでいただき多くの反響をいただきました。ひの社会教育センターでは、職員・スタッフ、学生リーダーと、前回同様、東京都立大学の荒井文昭教授を迎え、座談会を開催しました。
前回の記事に感想を寄せていただいたことをきっかけに、日野市の教育行政に長く携わる米田裕治さんもお誘いし、「社会教育に関わる仲間」が集まりました。

まずは全員自己紹介。お互いの立場はいろいろあるけれど、「〜さんで呼び合う」こと。そして、マスクで顔の半分が隠れているので、「目もとはにっこり」と約束。
この場にどうして参加しているのか、そもそも「ひの社会教育センター」との付き合いの始まりなどを各々話すところから始まりました。

3月から日本中、世界中で全てが止まってしまったような状況の中、センターも例外ではなく、講座の休講、ひの自然学校やイベントの中止、休館の日々が続きました。
しかし、「こんな時こそ、社会教育施設として『学び』や『つながり』を止めてはいけない」という思いのもと、オンラインでの集いや講座を開設しました。
突如として訪れた「withコロナ」時代。人と人とが出会うからこそ生まれる「社会教育」現場で、直接の出会いが減少していく状況下、どんなことが私たちに求められ、実行していけるのか、思いのままに話し合いました。

各々の参加メンバーから「社会教育」を感じた体験談を聞いた後、3グループに分かれ「現在のコロナ禍、何を感じているか。そして日野の街でどうしていったらよいか。新たな価値の創造を目指す」というテーマで意見交換をしました。

そこで出た意見を一部紹介します。

センターでは、事業の対象年齢が0才から高齢者までにわたり、内容も歌や楽器、語学、体験、キャンプなど、「密」や「飛沫」を避けられないものが多い。
新型コロナウイルスへの「こわい」気持ちと、事業を「出来る」という思い。狭間に立つと開催の判断が難しい。また、人によって許容できる範囲が違う、ということも課題になっている。
オンラインでのやりとりがどんどん活発に便利になる一方で、オンライン世界で育つ子どもたちの未来はどうなる…?という懸念。
直接会うことの価値を知っている私たちにできることは何か。
高齢者が出かけられない、集まれない、コミュニケーションがとれないことへの不安を耳にする。
コロナをよく知って、正しく恐れる。不確かな情報にあおられてしまうと恐怖が増大する。情報を正しく受け取ることの必要性を。

米田裕治さんより

今日集まっているみんなのセンターのイメージは、
『人と人とが支え合って、つながりがあって、人間くさい。
ひとりひとりが大切にされている。ひとりひとりに役割と居場所感がある。そういうことを作ってきたところがセンターっぽい」。
自分を最後まで自分らしく創造すること、どんな人間になろう?ということは、他者がいるからわかることである。不自由な中でこそ、自分の本当の願いやその本質に気付く。ここは、専門家集団だけど、専門家っぽくなく、ここに集まる人間集団が、『その一人』を応援する環境をつくっていると感じる。
コロナがもたらしが不自由さによって、「こわい」と「こう在りたい」というところの葛藤がうまれる。
人それぞれ、それがわかるようになるには時間がかかるが、自分との対話・人と人との対話・時代との対話の中で新しい目標・新しい幸せ感をみつけていくことが大事である。

まとめ

センターでは、感染症対策をしながら、現在多くのプログラムを再開しています。ですが、最終的にプログラムへの参加を決めることは、自分自身の判断が必要です。その結果、「参加しよう!」と決断した人のためにも、センターは門を開いて皆さんの利用をお待ちしようということがひとまずの目標となりました。

座談会のまとめ

【荒井文昭先生より】
言葉のイメージは人それぞれ違うが、学習は自分らしさを創造するものであり、対話関係抜きでは自分らしさは生まれないものである。
教育には社会を持続させる役割があるが、持続の仕方が問題で、学校教育では時代時代で、そのときに「大事」とされることが教えられる傾向にある。
しかし、今を生きている人にとって、おもしろいということを、教育を通じて実現することこそが大事で、この時代で何が大事かわからないというところから出発することが必要。
教育の自立性が次の価値を生み出し、次の社会を創造する。センターの強みである自由・自立性を守りながら、国や社会にその条件を支えてもらう仕組みが必要。
コロナ禍の今も、その先のどんな時代も、ひの社会教育センターのような社会教育施設が、すべての人の学習の権利を生涯にわたり保証する場であり続けることが大事である。

コロナ禍だからこそ、新しい目標、新しい幸せ感を見つけるために、今、あなたの学びたいこと、やってみたいことをお知らせください。
一緒につくりだしていきましょう。

荒井文昭(あらい・ふみあき)教授 プロフィール
専門研究分野
教育政治研究、教育行政学
社会教育協会の理事として、協会附属「市民の社会教育研究所」(2019年設立)の準備段階から関わり、現在、同研究所の副所長を務める。
所属
人文社会学部 人間社会学科 教育学教室/人文科学研究科 人間科学専攻 教育学分野
研究テーマ
1.教育政治の研究(だれが教育を決めてきたのか、だれが決めるべきなのか)
2.学校づくりと地域づくり(構造改革下における 教育行政の動態調査)
3.アジア・オセアニアにおける教育自治のあり方
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