40kmの経験から100マイルの冒険へ

対談

体験を言葉に紡ぐ雰囲気、そこにいたのは一人の”冒険家”でした

ひの社会教育センターが運営する週末子ども会「ぽけっと」会員で小学校6年生の諸星友里(もろほし・ゆうり)が、今年の夏休みを利用して100マイル(約160km)を11日間かけて徒歩旅行の大冒険へ出かけてきました。
あまりにビックリした出来事だったので、本人へ突撃インタビューをしてみました。その記録です。「カワイイ子には旅をさせろ」とは言いますが、パパママ必見かも!?
聞き手は諸星君が小学1年生のころから一緒に活動してきた、ひの自然学校担当ディレクターの寺田(まめた)です。

100マイルの旅って尋常じゃない距離だけど…

寺田
100マイルって160km以上だよね。この企画はどんなものだったの?

諸星
今回参加した”100miles adventure”は北極冒険家の荻田泰永さんが始めたプログラムで11日間かけて100マイル以上をキャンプしながら歩きました。
1日20kmくらい歩いて、キャンプ場についたら少し遊んで、お風呂に入って、ご飯を食べて寝て、また次の日歩きます。
道路や山道などいろんな道を歩きました。
https://www.100miles.site/

寺田
この企画どうやって知ったの?それでなぜ参加しようと思ったの?

諸星
お母さんが荻田さんの本を読んでいて100miles adventureのことを知って僕に勧めてきたのがきっかけでした。
最初は「こんなに外行くのは嫌だなぁ」と思ったけど、HPなどを調べていくうちになんだか楽しみになってきて行くことにしました。

寺田
子ども会のナイトハイクで40km歩いて、その辛さを知ってるわけでしょ?
なのに何でまた100マイルも歩くことにしたの?

諸星
ナイトハイクで「限界を知る」という考え方があって、それを達成した後に、どこまでできるんだろう、と思い始めてやってみたいと思いました。
出発の前日にはちょっと怖いな、と思ったけど無事に行ってこれました。

寺田
そもそも夜泊まるの苦手だったじゃない!
10泊も泊まって大丈夫だったの!?笑

諸星
意外と大丈夫でした。笑

寺田
1日歩いている20kmは、みんな何してるの?

諸星
もくもくと歩く時もあれば、みんなとしゃべりながら歩く時もあります。
歩いているときは「疲れたな~」しか思わないけど、1日歩き終わると「けっこうやり切ったな~」という達成感があります。
毎日毎日達成感はすごくありました。

寺田
歩いてて「いやだなぁ~」と思ったことはなかったの?

諸星
いやだなぁ~という感じはなかったです。
かといって歩いていて面白い、もなかったですけど。笑

100マイル歩き切って感じた「もっとやりたい」

寺田
いよいよ100マイル歩き切った時、何を思った?

諸星
なんかあっけなかったし、もっとやりたい、と思いました。
あれもこれも楽しかったから、もっとやりたいなぁと。

寺田
今回は「自分の限界を知る」というテーマで参加したということだったけど、その考え方でいうと100マイルはどうだったの?

諸星
楽しかったから、あのメンバーであの感じだったらどこまでもいけそうな気がします。

寺田
ちなみに主催者の冒険家、荻田さんと実際に出会って感じたことは?

諸星
冒険家って黙々と歩いていて何してるかよくわからない堅苦しいイメージでしたが、実際は気さくで自由な人でした。
冒険家ってこんな面白い人もいるんだ、と思いました。

大冒険を終えて、少し経った今思うこと

寺田
今回の冒険が終わって少し経ったいま、思っていることや考えていることは?

諸星
今は北極や南極に興味を持っています。100マイルのキャンプの後に荻田さんの本を読んで、一人でどうやって行ったのかなどが気になってます。
一人では怖くていけないけど。笑

寺田
冒険の後に自分の中で「変わったな」と思うことはありますか?

諸星
結構あります。例えばキャンプ中洗い物も全部自分でしなければいけなくて、家でも前から洗い物など手伝うことはあったけどイヤイヤやってて。
でも、最近は自主的にやってると思う。少しだけだけど。笑
あとは「あれができたから、これもできるでしょ」という、何かに挑む勇気が出てきた気がします。無謀なことに挑む謎のエネルギーのような。

寺田
100マイルに挑むかどうかを考えるにあたって、これまでやってた森のようちえんや子ども会「ぽけっと」の経験は何か影響してた?

諸星
めっちゃ土台になりました。
周りとの行動のしかたや、ナイトハイクで無謀な40kmを歩いたことで今回の冒険に挑む勇気が少しできました。
100マイル歩ききったことでさらにその勇気が大きくなった気がします。

寺田
改めて100マイルのプロジェクトは行ってよかった?

諸星
絶対よかったです!

寺田
今日はすごく豊かな話を聞かせてもらって、こちらもエネルギーをもらいました。
どうもありがとう!


諸星くんは、長くひの自然学校の森のようちえん・子ども会、そしてひの社会教育センターでスポーツ教室など様々な体験活動をしてきました。
今回直接話を聞いて、自分で選んでビッグチャレンジとその判断基準にここでの体験も影響を受けていると話してくれたことが現場指導者冥利に尽きるところでした。と同時に、やはり自然体験活動は子どもたちに何か強いエネルギーを与えてくれる機会になり得るのだと再認識した時間でもありました。
ドイツの教育者でイギリス発祥の世界的な冒険教育機関”アウトワード・バウンド”の創設者でもあるKurt Hahn(クルト・ハーン)は「大人が子どもに考え方を強いるのは間違っている。しかし経験を強いることは義務である」と説いています。
やっぱり、「カワイイ子どもには旅をさせろ!」ですね。

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