森のようちえん・冒険学校

生きる力、豊かな感性、たくましい身体と心を育む。

はじめに

人間はその歴史の中で、自然と共存し、敬い畏れながら生活してきました。
家族の助け合いや地域のつながりは、厳しい自然の中で生活するには必要不可欠なものであり、生きる知恵でもあったのでしょう。
文明の発達とともに、自然との「共存」のあり方や家族形態に少しずつ変化が起こり、日本では戦後の経済成長によって環境汚染や核家族化という問題が生まれました。
子どもを取り巻く環境、また子育て環境も大きく変化しました。そしてこの急激な変化の中で育った子どもが成長し、変化する社会の中で子育てをしているのが現状です。
自然の中に人間が生きる上で必要な知恵をつける素材が豊富にある事に気付かずに子育てしている、あるいは気付いていても方法がみつからないといったケースが見受けられます。
情報社会とも言われる現代、溢れる情報の中から本質を見つけ出し自己判断のもとに行動できる能力が特に必要とされてきています。
この自己判断に必要な「感じる心」「行動する力」は、自然との出会いやふれあいの中で培われるものであり、その体験はやがて知識や知恵を生み出す源になります。未来を担う子どもが今必要としている環境づくりや、働きかけを考え、実行していきたいと考えます。

デンマークで生まれた森のようちえん

今や日本全国に広がりつつある“森のようちえん”は、1950年頃、北欧のデンマークで幼稚園に入れない子どもを持つお母さん達が身近な自然を舞台に、園舎を持たない『森のようちえん』を自主保育という形で始まったと言われています。

ちゃんと体を使って遊んでいますか?

思い切り遊んでいますか?
友達とめいっぱい気持ちをぶつけ合って、ケンカしていますか?

子どもは遊ぶことが大好き。遊びたい欲求がいろいろな体験へと向かわせて、その豊かな経験が強い心と体をつくります。
子どもの好奇心を、自然はきちんと受け止めてくれます。自然を感じて自然の中で遊ぶ……子どもが必要とする、とても大切な経験です。

“森のようちえん&森の冒険学校”の舞台は自然を感じられる場所。そして、子ども達が主役です。

子どもが主役とは、どういう事でしょうか?
例えば、オモチャのない自然の中でも、子ども達は自分で遊びを見つけます。木の枝や落ち葉、小石や木の実…ちょっとした地面の窪み、いったい子ども達はどんな遊びを展開していくのでしょうか?
最初は戸惑うかもしれません。つまらないと思うかもしれません。でも、そんなときに必要なのが友達であり、大人のちょっとした手助けです。子ども達は、自分でやりたい事を見つけ出す力をきっと持っています。

ひの社会教育センターの森のようちえん

ひの社会教育センターでは1969年の開館以来、幼児・青少年を対象に、自然の持つ神秘さや不思議さに目を見はる感性(センス・オブ・ワンダー)を育む野外活動に積極的に取り組んできました。
幼児は近隣自然公園の水路散策やハイキングが日常的に行なわれ、時には五日市方面に泊りがけで出かけることもありました。そして青少年は中央線や青梅線沿線の自然を舞台に毎週のように活動し、宿泊を伴う最初の活動は八ヶ岳の清里高原で行なわれました。
やがて、当センターが主催する野外活動は質、量ともにニーズが高まり、北は北海道から南は鹿児島、甑島、そして沖縄へと広がっていきました。そして、当センターは1993年よりデンマークを訪問する高齢者福祉視察を始めましたが、その活動の一環として幼稚園や保育園も訪問し、デンマークの自然保育園や森のようちえんの活動にも同行させてももらうようになりました。
私たちは自然との共生を育む活動を広げていく必要性を感じる中で、今まで取り組んできた活動に自信を持つとともに、この経験をフルに活かすために、改めて幼児と子どもを対象にした野外活動を「森のようちえん&森の冒険学校」と位置づけて定期的な活動としてスタートすることにしました。
私たちはこの活動を、社会の閉塞感や人間活動の自然とのかい離が危惧される現代に於いて、自然をよりどころに、そこから抜け出そうとするひとつの教育的な試みとしてすすめていきたいと考えています。

理念

私たちは森のようちえん&森の冒険学校に於いて、本事業に参加する子ども達に「感じる心」「行動する力」が育まれ、「感性」が磨かれるような自然体験活動を行います。子ども達の力を信じ、自分自身の力で感性や本能、多角的な視点や考えを身に付けられるような活動づくりをめざすと共に、学びと試みを常に実践するようにします。

運営目標

  • 自然に親しむ心を養う
  • お互いを尊重しあう心をはぐくむ
  • 社会性を身につける
  • コミュニケーション力を身につける
  • 自分の可能性を見つける
  • 自分の限界を発見し、再び挑戦する心と体をはぐくむ
  • 保護者や地域と共に子どもを育てられるネットワークづくりを担う
  • 保護者も活動を通して自然の必要性を感じる
  • 地域(市民・企業・団体)の新しい公共財として、財源・人材を確保し発展させる
  • 命の大切さを学んでもらう

運営方針

  • 子どもの「やりたい!」を実現するように見守り、その子その子の満足度(希望・要望)をかなえてあげられるようにする
  • 子どもの体の成長や心の発達などを理解していく為に、研修や学習会などに参加し、さらに、発信できるように努める
  • 職員・スタッフはどんな場面にも対応できるよう、日頃からいろいろなことに興味を持って見聞を広げるようにする
  • 職員・スタッフは常に子どもの目線に立ち、子どもの感性や発見を共有できるようにする
  • 人とひとを結びつけ、発展させる場所づくりに努める
  • 大人プログラムの提供や、子どもの送り迎えの際に自然に対する理解を深めてもらえるよう声掛けする
  • 自然との共生を育むことを目的とした活動団体または個人にむけて、情報交換や学習会などの機会を広げていくネットワーク作りをする
  • 結果や応用に関する情報の共有として、ホームページで広く知らせたり、会合などで意見交換をする機会を持つ

森へ飛び出そう!

4才児から小学2年生までを対象に、毎月土曜1回・日曜1回開催(3月と8月を除く)しています。参加には事前申し込みが必要です。
開催スケジュールと参加募集状況についてはお問い合わせください。
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公益財団法人 ひの社会教育センター
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