SDGsを自分ゴトにしてみた!⑤

対談
2030年に向けた国際コンセンサス「SDGs」。センターのある日野市も SDGs 未来都市に指定され、様々な所で17個の目標ロゴマークを目にするようになってきました。 SDGsの目標はどれもシンプルでとても大切そう。
しかし、この目標を達成するには自分たちに何ができるのでしょうか。
今年度はひの社会教育 センターの職員がそれぞれ関心のあるテーマを取り上げ、 「自分ゴト」としてとらえ、その分野の実践家や専門家と対談しながらSDGsの取り扱い方について考えていきます。

GOALSロゴマーク
SDGsすべてのマーク

【14】海の豊かさを守ろう
【15】陸の豊かさも守ろう

今回のテーマは「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」の2つ。
学生時代を千葉県の勝浦で過ごし、趣味は釣りという職員の渡邊和英(わたなべ・かずひで)が、千葉県館山市のNPO法人「たてやま・海辺の鑑定団」で理事を務める竹内聖一(たけうち・しょういち)さんにお話を伺いました。
こちらの団体は、主に千葉県館山市沖ノ島を中心に、美しい自然環境を多く残した南房総で、自然体験プログラム(無人島探検、スノーケリング、ビーチコーミング、釣り体験など)と環境を守るための活動(アマモ場再生活動・森の再生活動・海岸清掃調査など)を行なっています。
※取材はZOOMで行いました。

渡邊
取材にあたり、学生時代に千葉の砂浜をトレーニングで走っていた際、海岸のゴミが気になったことを思い出し、「たてやま・海辺の鑑定団」さんの活動に興味を持ちました。活動の経緯を伺えますか。
竹内
2004年の設立当初は沖ノ島を拠点とした自然体験活動や、修学旅行の目的地として、海の自然を伝える活動が中心でした。ここはあまり知られていませんが、東京からそんなに遠くない場所で、サンゴがあったり、自然のポテンシャルが高い場所です。
ところが、自然環境の変化に伴い、2013年頃から沖ノ島のアマモ場が急に減り始め、見た目が変わっていきました。調べるとアマモが短くなり、魚に食べられる食害にも遭っていることがわかりました。
「今ある自然をそのまま伝えるという活動」だったのが、それからは今ある自然を元通りにという取り組みも同時に行うようになりました。

アマモは、海に生える海草です。ワカメやコンブとは異なり、花が咲いて種が出来きる海で育つ雌雄同株の多年生の種子植物です。比較的静穏な海域の砂泥質の場所に群落を形成します。それをアマモ場といいます。
アマモには、珪藻類や小型の海藻類が付着し、ヨコエビやワレカラ、小型の巻貝などが生活し、葉間にはアミ類などの小動物が生息しています。このため幼稚魚にとってアマモ場はそれらを摂餌(せつじ)する保育場となっているのです。また、葉と根から栄養塩を吸収し日中は酸素を放出する。放出された酸素によりバクテリアの有機分解が活発となり、水質浄化機能が高まります。さらにアオリイカやカミナリイカなどの産卵場ともなっています。
たてやま海辺の鑑定団ホームページより)

渡邊
なぜそのような変化が起きたのでしょうか。
竹内
はっきりとした理由はわかりませんが、きっかけは大きな台風が続けてやってきたこと。アマモが根こそぎ倒れてしまい、育つ勢いよりも食べられるスピードの方が上回ってしまったのではないかということでした。
これまで、アマモの再生は一年サイクルの活動で4回ほどチャレンジしていますが、あまりうまくいっていないのが実情です。
そして同じ頃、沖ノ島の森の中でも、木が立ち枯れするなどの変化が見られました。

渡邊
次の「森の再生活動」につながる話ですね。
竹内
樹木医に診てもらうと、神社の樹齢350年の御神木も弱っていることがわかり、数年は様子を見ていました。そして2019年に房総半島に大きな地風が襲い、島の木が30%ほども倒れる被害がありました。専門家との調査によると島が全体的に乾燥していると言われ、島にコンクリート道を整備したことが影響を与えているのではないかということでした。
海と森の関係性の深さを再認識し、森を再生していく活動にも取り掛かりました。それはアマモの再生にもつながった活動でした。

続いて3つめの活動として、2006年からは「国際海岸クリーンアップ」を展開し、海岸清掃とゴミ調査を行っています。
調査していて興味深いのは、海岸に打ちあがるゴミの種類の変化。開始した頃はタバコのフィルターなどが多く、現在はペットボトルた、ふた、人工芝やマットの破片などプラスチック片などが多いです。
活動を経て思うことは、「ゴミを出さない・流し出さない」という基本的な問題を解決しなければいけないのではないかということです。
自分の生活が、海につながっているという認識がないのではないか、「海を汚す」つもりがなくても、ゴミが海に流れ着くということを自分ごととしてとらえないと変わっていかないと思います。
「海はきれい・楽しい・生き物がいる」だけではなく、目の前で、そこで見ながら、海の現実を知ることの必要性を感じます。

渡邊
生活の中の一部が環境に影響を与えているということがわかります。暮らしの中で取り組めることとは、まさにそういうことですね。
活動を通しての課題はありますか?
竹内
地元での課題も身近に感じます。首都圏からかなり近い場所なので、若者が都市へ出やすく、少子高齢につながっています。
重要なのは子ども時代に、地域のことを知ることではないでしょうか。たのしさ前提で、大切さを知ること、起きていることを知ることを勧めています。
渡邊
たしかに、幼少期に自然に触れたことや、大切さに触れていることで、郷土愛が生まれると思います。
竹内
海があり山もある豊かな地元、地域の人はそれがあって当たり前と思っています。
コロナ禍を経て、観光公害という言葉も耳にするようになりました。訪れる側が、地域に寄り添える姿勢を持つよう心掛けられるといいと感じます。
以前から、島の保全と活用の仕組みづくりに取り組んでいるので、環境保全協力金の仕組みをつくっています。何かの働きかけを始めることで、状況は必ず改善していくと思っています。併せてルール・マナーの啓発を続けていくつもりです。
渡邊
地元に対してのアプローチもしつつ、訪れる片にも愛を持って来てほしいという思いが伝わります。
竹内
自分自身の子ども時代に、海で遊んで様々な体験が鮮烈に記憶に残っています。どんな小さなインプットでも、幼少期にやっておくことが大事だと感じます。ないよりは絶対あった方がよいです。育ちながら、身に着いていくのです。

終わりに

ひの社会教育センターでの事業を通した子どもたちとの関わりの中で、幼少期の体験が行動のきっかけになることを、身をもって実感しています。
海の実情は、どうしても生活圏内で目にできないと実感しづらいものですが、今回の取材を通し「自分ゴト」にしたいと感じました。

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