SDGsを自分ゴトにしてみた!⑥

対談
2030年に向けた国際コンセンサス「SDGs」。センターのある日野市も SDGs 未来都市に指定され、様々な所で17個の目標ロゴマークを目にするようになってきました。 SDGsの目標はどれもシンプルでとても大切そう。
しかし、この目標を達成するには自分たちに何ができるのでしょうか。
今年度はひの社会教育 センターの職員がそれぞれ関心のあるテーマを取り上げ、 「自分ゴト」としてとらえ、その分野の実践家や専門家と対談しながらSDGsの取り扱い方について考えていきます。

GOALSロゴマーク
SDGsすべてのマーク

【5】働きがいも経済成長も

今回のテーマは「働きがいも経済成長も」の項目より、8.7の『すべての児童労働を終わらせる』という目標について、みなみだいら児童館(ひの社会教育センターが日野市より受託運営)職員・坂口翼(さかぐち・つばさ)が、高校の同級生であり、認定NPO法人「ACE エース」で活動する杉山綾香(すぎやま・あやか)さんにお話を伺いました。

ACEは主にインドとガーナにおいて、子どもたちが児童労働から守られ、子どもの権利が保障されるようになることを目指し活動する団体です。
※取材はZOOMで行いました。

児童労働とは? ACEの活動について

坂口
まずは団体の主な活動内容を教えてください。
杉山
インド、ガーナで活動しています。また、2016年から日本の児童労働調査を始め、現在はSNSやイベントを通じて、啓発の機会をつくっています。
成り立ちは、97年に児童労働問題を伝える「児童労働に反対するグローバルマーチ」を日本で実施するため学生5人で始めたのがきっかけです。当初は期間限定の活動だったのですが、25年間活動を続けています。
坂口
杉山さんご自身はどういう経緯で、ACEで活動しているのですか?
杉山
中学時代をインドで過ごし、自分と同じくらいの年齢の子が、ストリートチルドレンとして生き、働いていることを目の当たりにしたことが原点です。日本人学校で、それは「児童労働」で「なくせるもの」だということを教わり、学生時代からACEにボランティアとして関わってきました。
子どもの頃に経験したことは、どこかで花が咲く、と感じます。子ども達と話すワークショップなどでは、児童労働問題を伝えつつ「NGO職員として働く」という職業選択肢もあることも意識して活動しています。
坂口
日本の児童労働で、把握しているケースはどのようなものがありますか。
杉山
日本の場合、労基法で禁止していても、18歳未満の子が危険有害労働に就き、児童労働に該当する場合で、怪我をしたり亡くなったりする事件が起きても「児童労働である」とニュースにはならないことが多いです。そのため、何が児童労働にあたるのか、というところから整理して周知徹底したり、労働環境を守ってもらうためのリーフレットを作成・配布して啓発活動をしています。
坂口
そうした発信は大切なことですね。児童労働・危険有害労働の中に、児童ポルノ・児童売春も含まれると聞いても、日本ではリンクしてないように感じます。たとえ犯罪に巻き込まれても「家出少女・非行少女」のように非難されてしまうイメージです。メディアの伝え方による影響は大きいと感じますが、本当は被害者なんですよね。
杉山
子どもが権利の主体者であり、同時に守られる存在であるということを、子どもたち自身にも知ってもらいたいです
坂口
以前、児童館を利用していた子が危険高所作業のアルバイトをしていたことを思い出し、児童労働だったと今回初めて認識しました。
昨今は、SNSなどを通じて犯罪に巻き込まれたり、結果的に児童労働につながるケースがあります。
杉山
坂口さんの話を聞いて、私も学びが深まりました。危険な働き方や大人との接触は、いつどこにあるか、本当にわからないです。自分達もどう子ども達と接したらいいかということを日々アップデートしている状況です。

廃止目標は2025年まで。その理由。

坂口
SDGsは2030年までの目標ですが、児童労働を無くすという目標が「2025年までに」と5年前倒しなことの理由は何でしょうか。またゼロに近づけるためのプランはありますか?
杉山
推察ですが、目標4に「すべての子に教育を」と掲げられているので、5年前には労働を無くし、30年には教育を受けられるようになっているという目標なのではないかと思います。
現在、世界では1億6千万人の子どもが児童労働に携わっていて、10人に一人の割合です。
プランとしては、まずは開発途上国の教育政策、社会保障などの整備です。児童労働をしている子どもは、親が教育の機会がなかったケースが多いです。なので、親がしっかり稼げるようになる環境を作ること、教育の大切さを認識してもらうことが重要です。そして先進国、いわゆる消費国側の要因として、物の原材料に児童労働が関わっていることを知ること、ACEではガーナのチョコレート、インドのコットンを中心に伝えてきていますが、児童労働があることが前提で起きているビジネス環境を変えることです。そうしたことを解決する手立ては、もちろん予算もですが、人々の意識を変えることも大事で、そこには地道な努力しかないと感じます。世界会議などで優良事例を共有し合う場もあり、達成への道筋はここ10年で見えてきています。
坂口
近道はないから地道にやっていくということですね。

増加する児童労働。コロナ後は…。

坂口
コロナの影響で日本でも「失業」「貧困」などが増えていることを、肌感覚で感じます。
杉山
まん延前のリサーチで、児童労働者数の増加を把握していましたが、コロナ後はさらに増えることが予測されます。
インドやガーナもロックダウンや休校の影響で、学べない子が取り残されているケースもあります。ガーナの支援地では、保護者から子どもたちの学校給食を維持するために寄付が集まり、「問題意識を持ち、よりよくしたいと思ったときに、人は行動を起こす」ということを感じた出来事でした。
坂口
子どもの学力の低下は、経済成長を止めることにもつながるのではないでしょうか。
杉山
関わりがあることだと思います。例えば日本での活動の中で、子どもたちに話を聞くと、子どもの意見も聞いてほしかったという声が耳に入ります。休校や部活、修学旅行の中止などの決定を下す前に、子どもの私たちにも意見を言う権利はあったよね、と。「アイデア創出に自分たちも関わりたい」と、意見を表明する権利を意識させてあげるには、大人側のスペースがより必要と感じます。
坂口
子どもの権利条約には、意見表明権があります。現在、地域と学校、児童館とで子どもや児童館運営について話す「運営協議会」があるのですが、今後は子どももメンバーに入れることが児童館ガイドラインに追加されました。
杉山
日野市は子ども条例があるのですね。素晴らしいです!策定している自治体はまだ多くないので、取り組む地域が、近隣へ広がっていくと、いい作用を生むのではないでしょうか。地域にこういう条例があるということは、大人が子ども参加に取り組もうという姿勢を助けると思います。
坂口
大人がちゃんと子どものことを考え、受け止める姿勢を見せることは、子どもの自己肯定感につながり、自分を大事にするというマインドにつながるのではないかと思います。日本人の謙虚な気持ちも大切だけど、「自分はこうだ!」って表明する姿勢を応援したいです。繰り返しになりますが地道にいくしかないと感じます。

現地点と今後の展望

杉山
前よりも認知が高まっていることは嬉しいです。新聞やメディアに日本の児童労働も取り上げられるようになり、足元も見るようになった、遠い国の話じゃないということの意識が広まってきたと思います。また日本の子ども達に、権利の主体者であり、意見を言っていい、守られる存在だけど、尊重もされる存在だ、と私たち大人がしっかり理解しコミュニケーションして、伝えていきたいです。ACEがインド、ガーナでやってきたことを今度は逆輸入して日本の子ども達に伝えることが、これから私がACEの中で、一つの軸としてやっていきたいことです。
坂口
お互い、子どもを幸せにする仕事ですね。頑張っていきましょう!
杉山
今回は素敵な機会をありがとうございました。お互い、頑張りましょう!

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